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外国人向けの地図記号

地形図を広げた時、次の記号が記されていた場合、そこにどんな施設があると判断しますか?

この地図記号に関しては小学校でも習うのですぐにわかるかもしれませんが、これは「郵便局」を意味しています。
地形図にこの記号があれば、そこには郵便局があります。

「何を当たり前のことを」と思われるようなことですが、外国から来た人たちはどうでしょうか?この記号をみてすぐに「郵便局」とわかるのでしょうか。

もとをたどれば、この地図記号は日本独自のもので、外国の方にはわかりにくいようです。というのも、郵便局の地図記号は、明治時代に郵便行政を担当していた、逓信省(ていしんしょう)に由来します。この官庁の片仮名読みの頭文字である「テ」をとって、記号としています。そのため、外国の方には伝わりにくい記号になっているのです。

では、日本人が記号を見ただけで「ここには郵便局がある!」とわかるような記号が、外国では用いられているのでしょうか。日本だけが伝わりにくい記号を使用しているということはないはずです。例えば、ヨーロッパの一部の国では楽器の「ホルン」を郵便局のシンボルとして用いているそうです。初めて訪れる国で郵便局を必死に探す、ということはあまりないかもしれませんが、ホルンのマークを初めて見て、すぐに郵便局とは気づかないかもしれません。しかし由来はもちろんあり、かつてヨーロッパでは郵便物を届ける郵便馬車が到着を知らせるためにホルンを吹いたそうです。

とはいえ、初めて訪れる国で、観光地ならまだしも、郵便局の歴史まで勉強していくことは稀でしょう。インドネシアの「Pを丸で囲んで示すもの」やイギリスの「Post Office」からそれぞれ頭文字をとって「PO」と示すもののようにわかりやすい方が、外国から来た人にはわかりやすいでしょう。

日本の郵便局を示す地図記号も、外国人からすれば一目ではわからない可能性が大いにありますが、実は「外国人向け地図記号」というものがあるということをご存知でしょうか。

 

例えば、先の「郵便局」の場合、外国人向け地図記号は右の記号になります。

他にも、警官が警棒を交差させた様子から来ている「交番」は進入禁止にも見え、誤解を生む可能性があります。そこで外国人向け地図記号では、警官が敬礼をした姿に建物の枠をつけ、より伝わりやすい記号としたそうです。また、旧陸軍の衛生隊のしるしをもとに記号化した「病院」は、教会や墓、旗に見えるとの意見もあったようで、外国人向け地図記号では、病院のピクトグラムを記号としました。


このような外国人に向けた地図記号は、上記に加えて13施設を対象に用意されています。

ただ、スマートフォンを開けばマップアプリがあり、紙の地形図を見る機会は少ないのが実際のところ。地図記号に触れる機会もあまりないと思われがちです。しかし、実際はそうでもありません。スマートフォンでGoogleマップを開いてみてください。「郵便局」の記号は日本独自の地図記号と同じです。

無意識のうちに判断できるほど、当たり前になっている「地図記号」は意外にも普段から目にしているのです。ですが、日本に来たばかりの外国人からすると、日本式の記号には慣れていません。私たちからすると一般的でも、世界的には一般的でないこともあるということです。

実際に、Googleマップに示される次の2つの地図記号にも「外国人向け地図記号」が用意されています。

どのような違いがあるのか、その答えは国土地理院のウェブサイトにありますので、改めて地図記号に触れてみるという意味でも、ぜひ一度覗いてみてください。

「国土地理院ウェブサイト」:https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa40072.html

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